2010.12.04 09:48

先日、TV東京で放映されていた 「カンブリア宮殿」 を見ていた。

メインインタビュアー 「村上龍」 の進行で様々な企業の社長を紹介している番組である。

先日放映されていたのは 「某居酒屋チェーン店」 である。

最近私の町でも目につくのは 「280円」 居酒屋である。

『へぇ~、こんな価格でやっているんだ。。。』と先日思った矢先に、テレビで見た 「270円居酒屋」 の番組である。

280円より10円安い270円なのだ!

どこまで続くのであろう、このデフレ・・・

視聴的には面白い番組なのだが、なぜか心情的には賛同できない。

番組で紹介しているのは、経済的に成功した企業人のストーリであるがそこに「感動」が感じない。

先日番組で放映された内容は、「なぜ、270円で利益が出せるのか?」である。

そして 「その成功の秘訣は?」なのだ。

たしかに利幅は小さいであろう。

しかしその原価の裏側には隠された多くの秘密がある。

それは、「徹底したコスト削減」なのだ。

定員を減らし、食材は全て加工済み。定員は素人でも出来る、電子レンジ手法。

本社事務所は一等地のビル地下。周りに窓がない事務所である。

会議は地下駐車場で行う様・・・

私はその光景が 「異様に見えた」

そもそも、私は「ファーストフード」 「ファミレス」 「チェーン居酒屋」 「スーパーマーケット」が大嫌いだ!

先ほど述べたように、低コストの先に見えるものは全て「徹底したコスト削減」である。

その元の大半は 「仕入れ先からの大幅な低原価仕入れ」に頼るものが大半だ!

私が考えるに 「安いものには安いなりの理由がある」。

消費者への誤魔化しであり、社員への負担なのだ。

窓がない事務所で「こんこんと働く社員」・・・

みな、仕事を楽しんでいるのであろうか?

話は変わり昨日、私の会社で面白い実験をした。

お客様からの依頼で、『フランス料理の口直しで出される“グラニテ”のようなシャーベットが出来ないか?』であった。

イタリアでよく見る「シャーベット」を作る機械で作ったシャーベットをまた加工して作ると似た触感が得られるのである。

とりあえずその機械をバラシ、いろいろな角度から調べてみる。

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小さい頃の図工に似た感じで実に楽しい♪♪

しかし、「よく考えられた機械である」。

次に、実際にシャーベットを作ってみる。

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『いい匂いだぁー!』

原料は  ★ひ★み★つ★ だ・・・

そして、計測テストである。

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このようなことを繰り返し、データーを採取していく。

これが技術者としての最も楽しい時間である。

もちろん作ったシャーベットは社員全員でいただいた♪

私はこの会社の社長さんと主任さんのこだわりが大好きだ!

3ヵ月前に初めて依頼された時には、私も持てる技術でいろいろと紹介した。

しかし、それは社長さんが思い描く自社製品の 「触感」 にマッチングしないのだ。

そして再び 『どうしても機械を造ってほしい!』 との依頼でいま再びトライしている。

私は彼らの 「こだわり」 が大好きだ。

日本が持つ「とっびっきり良い原料で」美味しいものを作って、人々にそれを食べていただく。

いまの日本企業にかけていることだと思う。

私の友人の阿部社長も同じだ。彼は地元で水揚げされた新鮮な鮮魚を大切に取扱い全国各地へ届けるのである。

少し高いかもしれないが、「本物」である。

かといって、ブランドバックを買うような価格ではない。

270円で食す居酒屋の「ホッケ」より、1000円で食べる「金華かつおのたたき」の方が味もボリュームも格段に違う。

なんども言うが 「本物」 なのだ!

量産で作る器より、有田の陶工が手作りする器の方が味がある。

その器に盛られた料理は一層おいしそうに見える。

料理に合わせた器は実にすばらしい。

そう、先日見たテレビで感じれなかったのはこの 「こだわり」 だったのだ。

花木も太陽を浴びないと元気が出ないように、人間も地下で働くと元気が出ない。

企業で働くのは機械じゃない。人間なのだ。

「徹底した原価低減」は企業にとって必要であるが行きすぎは問題ではないだろうか?

企業の成功と、人生の成功のどちらも両立したいが 「難しい課題」 であることは確かだ。